研究テーマ 小林 真理 (現:東京大学分子細胞生物学研究所)

(1)Synechocystis sp. PCC 6803のスーパーオキシドストレスに関与する遺伝子の探索 (Kobayashi et al. 2004 Plant Cell Physiol 45: 290-299)


背景: 強光や乾燥などの様々の環境ストレスにより発生する活性酸素種は、細胞に重大なダメージを与える。特に酸素発生型光合成生物は細胞内の酸素濃度が高く障害を受けやすい。そのため防御系が幾重にも発達し、それら防御システムに関する知見が数多く報告されている。しかし、活性酸素種のセンサーやシグナル伝達系等はほとんどわかっておらず、また藻類に関する活性酸素応答機構の知見は乏しい。

 スーパーオキシドストレスによって誘導される遺伝子を網羅的に調べるため、メチルビオロゲン(MV)を処理した時と未処理時の遺伝子発現の違いをマイクロアレイで調べた。MVは光化学系・の電子受容体として働き、スーパーオキシドを生産することで知られている。


Synechocystis sp. PCC 6803のマイクロアレイを用いて、強光+MVで誘導される遺伝子群を同定した。この結果から、応答遺伝子を調節する転写因子の候補を見いだした。この転写因子の破壊株を作製し、野生株と比べて、この応答遺伝子の発現が予想通り異なることを見いだした。さらに、転写因子を発現精製することにより、この応答遺伝子の上流に特異的に結合することも見いだした。

以上の結果は、シアノバクテリアにおけるスーパーオキサイドストレスを特異的に感知して、ストレスに対する防御に関わる遺伝子の発現を誘導していることを示している。

(2)シアノバクテリアのゲノムの可塑性の解析