近藤久益子


研究テーマ:ロッドコアリンカーCpcGを介したフィコビリソームの機能分化

 フィコビリソームはシアノバクテリアや紅藻において光合成電子伝達系のアンテナとして機能しており、主に光化学系II複合体と相互作用するといわれている。CpcGはフィコビリソームのロッド・コアリンカーとして機能しており、コピー数が種によって異なる(図1)。

図1;CpcGアミノ酸配列のクラスタリング

 Synechocystis sp. PCC 6803には2コピーのcpcG遺伝子(cpcG1slr2051cpcG2sll1471)が存在する。薬剤耐性遺伝子挿入により各遺伝子破壊株(ΔcpcG1株、ΔcpcG2株、二重破壊株)を作製し各株のフィコビリソームのアセンブリ状態を調べたところ、ΔcpcG2株では野生株と類似したほぼ完全なフィコビリソームが単離されたが、ΔcpcG1株では部分的に会合しているものしか単離されず、二重破壊株ではさらに会合が抑えられていた(図2)。

図2:cpcG遺伝子破壊株の作製、細胞の吸収スペクトルとショ糖密度勾配遠心によるフィコビリソームの単離

ΔcpcG1株でみられた部分的に会合しているフィコビリソームは、殆どロッドのみから形成されるクラウン様の構造を形成していると予想された(図3)。

当研究室の片山らによってcpcG2遺伝子のみが波長依存的な光制御を受けることが明らかにされており、これらの結果からCpcGを介したフィコビリソームの新奇アセンブリ調節モデルが導き出された(図4)。


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