タンパク質のリン酸化の解析

シアノバクテリアにおけるシグナル伝達経路の多くは、原核生物に普遍的に存在するいわゆる「2成分リン酸リレー系」であるが、Synechocystis sp. PCC 6803のゲノムが解明されたところ、真核生物型のSer/Thr protein kinase、Ser/Thr protein phosphataseに相同な遺伝子がいくつか見つかった。われわれは、これらの遺伝子の機能を解明するために、Synechocystisにおける遺伝子破壊株の解析、大腸菌での大量発現と酵素解析を進めている。(亀井)

1. slr2031の解析 (Kamei et al. 1998)
名大の小川らは、Synechocystis sp. PCC 6803のPCC株のゲノム上のある領域の154bpがGT株では欠失していることを見いだした。この領域は、PP2C型Ser/Thr protein phosphataseに相同な遺伝子をコードするslr2031の翻訳開始領域を含んでいたので、この遺伝子の機能が、PCC株とGT株の表現型の違いに関連しているかどうかを調べた。PCC株由来のslr2031破壊株は、運動性が大幅に抑制され、強光耐性が強化され、形質転換能が増加していた。これらの結果は、タンパク質のリン酸化によるシグナル伝達経路が細胞機能の調節に重要な役割を果たしていることを示唆している。

slr2031破壊株の表現型は、初の非運動性として特筆される。この研究を端緒として、分子生物学の解析がスタートした。(図1 Synechocystis sp. PCC 6803初の非運動性変異株 上:運動性野生株(PCC)、中:非運動性野生株、下:Δslr2031/PCC、寒天培地上のコロニーの形態)

文献:Kamei, A., Ogawa, T. and Ikeuchi, M. (1998) Identification of a novel gene (slr2031) involved in high-light resistance in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. in Photosynthesis: Mechanisms and Effects (Garab, G. ed.), pp.2901-2905, Kluwer Academic Publishers. (PDF download)

2. spkAの解析 (Kamei et al. 2001, PDFファイルダウンロード)
Synechocystis sp. PCC 6803から、新しいSer/Thr型protein kinaseを発見した。この遺伝子は、従来ゲノム解析されていたかずさ株やよく使われているGT株では、フレームシフト変異により2つのORF(sll1574+sll1575)に分割されていた。変異の入っていないspkAを大腸菌で発現させると、カゼインなどのタンパク質に対するリン酸化能を示した。SynechocystisspkA破壊株は、野生株が示すtwitching motilityが大幅に抑制されており、spkAの運動性調節への関与が示唆される。

3. spkBの解析Kamei et al. 2003

4. spkCspkFの解析 (Kamei et al. 2002)



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